AGAの主な原因は、男性ホルモン（テストステロン）です。
しかし、このテストステロンが直接作用して薄毛に変わるわけではありません。
毛髪あるいは皮脂腺に存在する「5α-リダクターゼ」と呼ばれる酵素の働きにより、テストステロンが「DHT（5α-ジヒドロテストステロン）」に変換されます。
DHTは毛乳頭内の受容体に結合して発毛や育毛を阻害する信号を発信し、脱毛因子が増加して発毛を著しく減少させるので、薄毛に繋がるのです。

AGAには、両親より受け継いだ遺伝子が関係していると考えられます。
ドイツの研究チームによって、若い頃から頭髪が薄くなってしまう方の多くにAR（男性ホルモン受容体）遺伝子の変異が確認されました。つまり、AR遺伝子がAGAに大きく関与していると考えられます。
このAR遺伝子はX染色体にあるのですが、X染色体は母親から受け継ぐため、母方の家系が薄毛である場合は遺伝する可能性が高いです。
ただし、実際にはさまざまな環境因子が影響し合うため、遺伝したからと言って必ずしもAGAを発症するというわけではありません。

毛髪は毛周期により成長・脱毛を繰り返しています。

毛髪が成長する「成長期」
脱毛の準備をする「退行期」
毛髪の成長がストップする「休止期」

これらを繰り返されることで髪の健康が保たれているのですが、このサイクルが乱れるとAGAを発症します。

AGAの場合、成長期が短くなることにより髪の毛が太く成長することなく抜け落ちてしまいます。また、成長期の短縮で髪が十分に発育されなくなるため、細く短い髪の毛が増え、薄毛が目立つようになるのです。さらにAGAの場合、休止期も延長されるので、新しい髪の毛が生産されなくなり、薄毛が進行します。ただし、毛乳頭自体は残っていますので、治療することで発毛・育毛の機能を改善することが可能です。

生命のバランスが均衡している状態が人体にとって理想的なのですが、ストレスを感じるとこのバランスが崩壊してしまうでしょう。
過度にストレスを溜め込むと自律神経のバランスが崩壊し、毛乳頭に関与する血流が悪くなってしまうかもしれません。血流が低下すると、摂取した栄養を毛髪に送ることができなくなるので、発毛が阻害されてしまいます。さらに、ホルモンの影響によって血圧・血糖値が上昇し、免疫機能の低下につながる可能性が高いです。

ストレスは脱毛だけではなく、さまざまな疾患の原因です。薄毛に悩むことが強いストレスになり、より一層AGAが進行してしまうこともあります。
このようにストレスと薄毛は密接に関係していますが、個人でストレスから脱却し、薄毛の改善を目指すことは容易ではありません。1人で悩まずに、まずは専門家に相談することをオススメします。

AGAを始めとした脱毛症の多くは、食生活、運動習慣、睡眠、喫煙、飲酒等の生活習慣が発症や進行に大きく関係しています。さらに、脱毛症だけではなく、脳血管疾患、心臓疾患、ガンなどの疾患の原因となる恐れもあるので注意が必要です。
当院では、薄毛解消のためにカウンセリング時に生活習慣の指導も行っています。